俺はなんとなく、母さんの向かいの椅子に座って頬杖をついた。
「…そっか…」
父さんの小説は、まだちゃんと読んだことがない。
まず、父さんと普段からあまり会話をしない。
…別に仲が悪いとかじゃないけど
お互いに、あまり自分から話しかる性格じゃないし、無愛想なところも似ているからだと思う。
「蛍はパパに似て、かっこよくなったなぁ~っあははっ」
…嬉しくねぇ
母さんは俺の髪を、わしゃわしゃと雑に撫でた。
「前はこ~んなに、ちっちゃかったのに」
母さんは手を下に下げて、ニッと笑った。
「いつの話してんだよ」
母さんが嬉しそうに話すから、俺もつい笑ってそう言った。
母さんの中の俺は、きっともっと幼いままなんだろう。
それよりずっと、俺は大人になった。
見た目も、心も。
まだまだ子供だけど、きっと母さんが想像してる俺より、ずっと大人だ。
「学校は?楽しい?」
「…あぁ」
母さんは時々、こうして俺に確認をする。
それは多分、
…俺がいじめられていたからだと思う。



