服も着替え、俺が部屋を出ようとしたとき、涼太は床にゴロンと寝転がっていた。
…ん?
「…ここで待ってる?」
俺がそう言うと、涼太はコクッと頷いた。
「そ、んじゃ、いってくるわ」
「いってらっしゃーい」
…いつもなら一緒に来るのに
まぁ、眠かったんだろ
一階に行くと、母さんは俺を見て、眉間にしわを寄せた。
「もーー、けい遅いっ」
…酔ってる
話し方もいつもと違うし、顔もほんのり赤い。
母さんはお酒は強い方で、いつもテンションが高いから、
親しい人じゃなかったら酔ってるって気づかれない。
俺とか父さんは分かるけど。
「…今日、仕事休み?」
俺がコップに水を入れながらそう聞くと、母さんは大きな声で笑った。
「休みじゃなきゃ、飲まないでしょ~っ」
「…はい、水」
半分くらい水を入れたコップを、母さんの目の前に置いた。
「あ、ありがとーっ」
そう言って無邪気に笑う母さんは、いつも明るくて、あまり弱音を言わない人。
…本当はあんまり酒、飲んでほしくないんだけど
「父さんは?」
俺がそう聞くと、さっきまで笑っていた母さんが、少しだけ寂しい目をした。
「…部屋で、お仕事頑張ってるわよ」
「小説家って大変なのね」
母さんはまた笑うけど、それはどこかぎこちない。
俺の父さんは小説家で、無口であまり感情を表に出さない人。



