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「ねむちゃん!おはよーっ」


「はい、おはよう」


今日も廊下を歩くと、生徒達が笑顔で挨拶をしてくれる。



「せーんせっ」


特にこいつ、岸 涼太はいつもニッと無邪気に笑っている。



「…朝から元気だな」


そう言うと、岸は何かを確かめているような目で俺を見つめた。



「今日、体調悪いの?顔色悪いし、さっきもふらついてた」



…いや、無邪気で子供っぽく見えて、



……実は誰よりも大人びてる。



人のことをよく見てて、



「ほんとお前は、優しいな」



実は心配性で、自分よりも人のことを常に考えてる。


岸はそんなやつ。



俺は岸の頭にポンッと手を置いて、少し雑にわしゃわしゃと撫でた。



「ちょっと寝不足なだけ、大丈夫」



「………」



…めちゃくちゃ見られておる…



「じゃぁ、これあげるっ」



涼太は俺の手に何かを置いて、走っていってしまった。



「おーい、ろうか走ったら俺以外の先生に怒られるぞーー…ってあいつ足はえーな」



俺の手には、ミルクチョコレートがひとつ。



「……ありがとう…」



俺はそう呟いて、チョコレートを口に入れた。



甘くて、優しい味…




俺は岸が時々、心配になる。



あいつはちゃんと、


自分を大切にできてるのか?…って




人の気持ちには敏感なのに、


自分の気持ちには鈍感。



…いや…気づいてても言わねぇのか…



とにかく岸は…



「……情に厚い…」