「……ん?…なんか土の匂い…」



クンクンと、犬みたいに俺の服の匂いを嗅いだ後、涼太は大きな声で言った。



「あーーっ、けーちゃん風呂まだだった!」



「…自分で抱きついてきたんだろ」



「へへっ」



それからは、俺も風呂に入って、みんなでららのお母さんが作ってくれたご飯を食べた。



…めちゃくちゃうまかった…



俺の愛するからあげもあったし、幸せ…



「けーちゃん」


こっそりと、二人だけに聞こえるような声で俺の名前を呼ぶ涼太。



俺が耳を寄せると、涼太は静かに言った。


「もうそろそろ、ケーキ出してもいい?ってお母さんが」



「あぁ」



……喜ぶかな



きっと、すげー笑って喜ぶんだろうな



_カチッ



「ふぇっ…」



電気が消える音がした後、ららの驚く声が、小さく部屋に響いた。



ららのお母さんがケーキを運んでいる間に、皆で誕生日の歌を歌う。



ロウソクの明かりで、やっとららの顔が見えた時、俺は思わず、ふっと笑った。



…すげー嬉しそうな顔



幸せそうに笑いながら、パチパチと手拍子をしている。



歌い終わると、ららはフーッとロウソクの火を消した。


『これってフーッてしていいんですかっ』とか、言ってたけどな。



_カチッ



俺が電気をつけると、ららはキラキラした瞳で、ケーキを見つめていた。



「これっ、こんなに苺がのってるケーキっ…初めて見ましたっっ」