ぐぐーっと強くドアノブを押してみても、やっぱり動く気配はなかった。
え、え、
どうしようっ
何か引っかかってるのかな?
「お、お母さんーー」
た、たすけて~~
「お母さん、おっけーっす!」
遠くの方から、小さな涼太くんの声が聞こえて、私はそっと耳をすました。
「……な、なに…?」
なにがオッケーなの…?
_ガチャッ
「わっ」
さっきまでピクリともしなかったドアが突然開いたから、
ドアに耳をひっつけていた私はよろけてしまう。
あ、開いた…
って、あれ?
ドアのすぐそばにはお母さんが立っていた。
「お母さん?が開けてくれたの?」
私がそう言っても、お母さんはくすりと笑うだけだった。
そして私の肩にポンッと手を置いた。
「こっち、こっちっ」
背中をぐいぐいと押されて、どんどんリビングの方に向かっていく。
「え、えっ?なにっ?」
「いいからっ」
これがどういう状況なのか分からないまま、私はリビングのドアの前に立った。
「らら、」
ドアの前に立った時、お母さんが私の名前を呼んだ。
いつものように、のんびりとした声で。
「産まれてきてくれて、ありがとう」



