「あっ、ほんとだ!」
涼太が嬉しそうに、そう言った。
…いつも俺がほとんど掃除してるけどな
「…涼太は ほうき振り回してるだけで、掃除しねーけどな」
「オカンのくせに」
オカンを強調して言うと、涼太は口をムッとさせた。
あ、拗ねた。
「はー?!けーちゃんだってこの前、掃除せずに、俺を置いて帰ったよね?!」
…あ、確かに
「あの後、ひとりで掃除したんだよ!」
まぁ、それは悪いと思ってるけど…
「あれは……用事があったんだから仕方ねぇだろっ」
「ごめんとかないの?!」
「ごめんなさーい」
心のこもってない「ごめん」を言った後、俺は変顔をする。
「…~~っっ、うざっっ」
涼太はそう言いながらも、俺の変顔が面白いのか、笑いを堪えているように見える。
「ふっっ…」
「仲良しですねっ」
「どこがだよ」「どこが?!」
咄嗟に言った言葉は、涼太の声と重なった。
すると、ららは眉を下げて、笑いを堪えながら言った。
「…そういうところが、です」
ららは、なんだか嬉しそうだった。
それにつられて、俺と涼太も顔を見合わせて、ふっと笑った。
帰り道、静かな道路に、3人の話し声が響く。
周りから見れば、公園で服に土をつけて帰る、小さな子供のようだった。