電車のドアが開く音がして、周りの人達が俺たちをじろじろと見ながら出ていく。
…まぁ、主に、俺を見ている人がほとんどだったけど
理由はすぐに分かった。
こんなところで、女の子の頬に触れて、
…キスしようとしてたから
何事もなかったかのように、俺たちも電車からおりた。
するとららは、眠気が覚めたようにハッとして言った。
「おふたりとも、お家はどこですか?」
みんな一緒の駅におりたから、ららはびっくりして、不思議がっていた。
ららは、これからみんなでケーキを食べるということは知らない。
…何か理由…
バカな頭で、ららの家に行かなければいけない理由を探していた。
だってこれは誕生日作戦で、一応サプライズだから。
「…ららの家に、俺ら忘れ物したから」
バカな頭で、必死に考えた結果がそれだった。
すると、ららはすぐに納得したように「そうなんですね」と少し微笑んだ。
そして3人で、駅から、ららの家を目指して歩く。
「ちょっと遅くなっちゃったね」
静かな道のりで、涼太が言った。
見上げてみると、さっきまでオレンジ色だった空は、もう薄暗くなっていた。
「…たしかに」
俺は空を見上げながら、そう呟く。
「…でも、本当に楽しかったです」
ららの嬉しそうな声が聞こえて、視線をららの方へ向けた。
……幸せそうな顔…
ららは幸せそうに頬を緩ませて、本当に嬉しそうにしていた。
「まるで…」
「普通の高校生になれたような気がしました」
「……それに、」
ららは、嬉しそうに話を続ける。
「おふたりがいる学校なら、毎日とっても楽しそうですねっ」



