ふんっと気合いを入れてそう言うと、涼太くんは笑いながら、また腕を少し高く上げた。
目を開ける…目を開ける…
「とるよー」
今度こそ初自撮りをっ…
「け、けーちゃんっ…」
待っていてもシャッター音は鳴らなくて、変わりに涼太くんの笑い声が聞こえてきた。
涼太くんは蛍くんの名前を呼んで、また目に涙を浮かべて笑っている。
「ふっ…そっぽ向かないでってばっ…」
涼太くんがそう言うから、蛍くんがどんな顔をしているのか気になって、私も覗いてみる。
すると蛍くんは、本当にそっぽを向いていた。
いつものように、不機嫌そうな顔をしているように見えるけど、なんだか少し違う気がする。
だって少し、頬が赤いから。
これは…
…照れてますね!
「けーちゃ_」
涼太くんがもう一度、蛍くんの名前を呼ぶと、蛍くんは不機嫌そうに言った。
「……うっせーな、向いてるだろ」
…蛍くん…それ…
……全然、向いてませんっ
向いてるという蛍くんは、全然こっちを向いていない。
「どこ向いてんの?!」
私が思っていたことを涼太くんが大きい声で言うから、私は思わず笑ってしまう。
「あははっ」
笑わないようにと頑張ったけど、やっぱり無理でした。
_カシャッ
「…あ、とっちゃった」



