「どこも痛くねぇの、さっき痛そうな顔…」
「…そりゃ、けーちゃんが上に乗ってたらさすがに重いよ」
…あ、そっか…
涼太はそう言うと、上半身を起こして上を見上げた。
「すみませーんっ、大丈夫です!元気です!」
涼太は、両手をブンブン振って、元気であることを全力で伝えていた。
「おぉっ、そうかい!」
「気をつけてなぁ~~」
あぁ、心配してくれてた人、あんなにいたんだ。
上には、数人だったけど心配してくれている人がたくさんいて、
みんな「よかった~」と安心してから、この場を離れていった。
人は本当にたくさんいて、いじめる人や、暴力をしたり、言葉で傷つけたり、
そういう悪い人はいくらだっているかもしれない。
だけど、そういう人ばかりじゃない。
見知らぬ人を、心から心配してくれる人だっている。
…俺は昔、誰も信じてなかった
信じられなくなった
いじめられて、暗いところに閉じ込められたりもした。
それで、どうやって人を信じろって言うんだよって、ずっと思ってた。
…もう誰も信じない
だけど俺には、
「ららちゃん見つかってよかったぁ~~」
「また迷惑をっ…あのっ…本当にすみませんっっ」
「でも…どうしてもこれ…渡したくて…」
_こいつらがいる。
「ふたりへの、プレゼントですっ」
もう誰も信じない、誰もいらない、一人でいい、
そんなことを考えていた俺でも、出会えたんだ。
こんなにも大切な、人たちに。