ららしか見ていなかった俺は、そこに道がないことも忘れて、足を前に出してしまった。
「けーちゃんっ」
反射神経のいい涼太が、咄嗟に俺の腕を掴んだ。
「わ、わーーっ」
_ドサドサッ
…結局二人で転げ落ちたけど…
「にーちゃんたち大丈夫か?!」
「怪我はないー?」
上から、数人の心配する声が聞こえて、俺はハッとした。
転がって落ちたせいで、俺は涼太の上に乗っかっていたのだ。
「涼太!!」
俺はバッと勢いよく涼太から離れた。
涼太は、どこか痛そうな顔をしているようにも見える。
「りょーたっ、大丈夫か?!」
俺がもう一度、名前を呼ぶと、涼太はゆっくりと目を開けた。
そして眉を下げて、目を優しく細めた。
「…ふっ…聞こえてるよ、大丈夫」
…なんだよ…
……びっくりさせんなよ
俺が必死だったのが面白いのか、クスッと笑う姿は、普段と変わらない。