「…はぁっ…はぁ…」
…ここにもいない…
どこだよ…
…どこにいるんだよ…
「っ…ららーーっ」
「………」
俺が名前を叫んでも、返事は返ってこない。
ただ周りにいる、お花畑を見に来た人達が、俺を心配そうに見つめるだけだ。
「ららーーーっ」
人の視線など、どうでもいいくらいに必死だった。
「けーちゃんっ」
息を切らしながらこちらに走ってきた涼太は、「いた?!」と、額に汗を流しながら言った。
「いない」
「…あと見てない場所は…」
もうほとんどの場所を探したはずだ。
__蛍くん
…え?
「今、声した…」
小さかったけど、あれは確かにららの声だ。
「えっ、どこから?」
涼太は聞こえていなかったらしく、驚いた顔をしていた。
…幻聴…?
「蛍くーーんっ」「涼太くんーーっ」
「あっ、ららちゃんだ!」
今度は涼太にも聞こえるくらい大きな声で俺達を呼ぶ声が聞こえた。
…近くにいる
声がした方を覗いてみると、そこにはららがいた。
ららは、俺たちがいるお花畑のもう一段下にいたのだ。
緩やかな草原の斜面の下にいるから、おそらくここから滑って落ちたのだろう。
「ららっ」
…あ、
「うわっ」
_ズルッ