しばらくすると、蛍くんが飲み物を3つ抱えて帰ってきた。
「ん、やる」
私は蛍くんから、リンゴジュースと書かれた、小さいサイズのペットボトルを受け取った。
…私の分まで買ってきてくれたんだ…
しかも私の好きなジュース…
…とても優しい…
「あ、ありがとうございます」
私がそう言っても、蛍くんは何も言わずに隣にいる涼太くんにメロンソーダを渡した。
「…けーちゃん…」
「ちゅきっ」
涼太くんは、蛍くんにぎゅっと抱きつく。
「きもい、やめろ」
蛍くんはそう言いながらも、無理に振り払おうとはせずに、気にせず自分が買ってきたものを飲んでいる。
「ふっ…」
いつもの光景に、私は頬が緩んでいた。
蛍くんが飲んでいたのは、普通の水だった。
…蛍くんはお水が好きなのかな…
そんなことを考えながらお花畑を見つめていると、
自分が小さい頃に読んだ本が頭に浮かんできた。
あの本を見て、いつかお花畑に行きたいって思った。
…本で見るより、とっても綺麗です
……そういえば…
私は、二人がいつものようにじゃれあっているのを見計らって、そっと抜け出した。
少しだけなら、大丈夫ですよね。
「…きっと、喜びます」



