近くまで行ってみると、花びら一枚の小さな部分まで見えて、また綺麗だった。
しばらく歩くと、お花畑に囲まれた可愛らしい形をしたベンチがあり、
私達はそこに座って景色を眺めていた。
風が吹くとお花のいい匂いがして、私はスーッと息をゆっくりと吸った。
「……いい匂いする」
私が心の中で思っていたことを口にしたのは、隣に座っている蛍くんだ。
蛍くんの方を向くと、もうすでに蛍くんはこちらを向いていて、しっかりと視線があった。
周りにお花があるからなのか、いつもより蛍くんの瞳が綺麗に見える。
「…わぁ……」
「…なんだよ」
「へっ…」
少し不機嫌な蛍くんの声が聞こえて、私はハッとした。
蛍くんの瞳が綺麗で、見とれていました…なんて言えない…
言葉を探していると、蛍くんは私の頬を指でぷにっとつついた。
「…なにかあるならさっさと言え」
そう言う蛍くんの表情は、なんだかとても優しい。
「…な、なんでもないですっ」
私はそう言うと、ふいっと視線を逸らした。
これ以上見ていると、ドキドキしすぎて変になってしまいそうだ。
だけどそれを許してくれないのが、蛍くんだった。
_ぷにっ
頬を片手でわしづかみにされた私は、また蛍くんと視線があった。