私がリビングに行くと、お母さんは楽しそうに涼太くんと話をしていた。
そんなお母さんのことを見ていると、昨日のことはなんだったのだろうと、不思議に思う。
特に変わった様子もなさそう…
…だけどすごく…悲しい顔してた…
_『…いつまでそうしてるつもりなのっ……』
私が嘘をついて帰ってきた時に、お母さんが言った言葉。
その言葉を聞いた時は、今までにないくらい胸がドキッとした。
嘘をついることを、まるでずっと昔から知ってるいるみたいだったから。
でもあの後すぐ…
『…お母さん…?』
『はっ…な、なんでもないっ…なんでもないのよっ』
『びっくりした?驚かしたかっただけなの』
お母さんはそう言って、作り笑いをした。
あきらかにお母さんの様子が変だった。
ざわっと胸騒ぎがして、私もそれ以上聞きたくなくて、なにも気づいていないふりをした。
これ以上踏み込んでしまえば、今まで私が隠してきたことが、全てなかったことになってしまいそうで、そうだと信じたくなくて、
私はお母さんから、逃げてしまったんだ。
「らら」
お母さんが優しい声で私の名前を呼んだ。
_私は大切な人に、
平気で嘘をつくひどい人。



