…ドSって言ったこと怒ってるのかな…?
「…俺…さ、」
…な、なんでしょう…
「ららに学校…行ってほしくて、いじわるなこと言ってたかも…」
…えっ…
「…やり方、間違えてた…なんか…ごめん」
蛍くんはとても恥ずかしそうに、目を泳がせた。
…そんな風に…思ってたんだ…
「それが癖になった…つーか…」
私が何も言わないからか、蛍くんは余計に恥ずかしそうに俯いた。
わ~…こんな蛍くんはレアですっ。
でも蛍くん、私は…
「知ってます!」
「…え?」
蛍くんは目を丸くした。
それでも私は、自信満々に言った。
「ドSが蛍くんの普通なんですよねっ」
私、ちゃんと理解してますよ、蛍くん!
「…え、いや…普通っつーか」
「蛍くん、らら~、何してるの~?たまごやき冷めちゃうよ~」
蛍くんが何か言いかけた時、お母さんの声で遮られてしまった。
私は特に気にすることもなく、これから3人でおでかけするという楽しみな気持ちだけだった。
蛍くんが迎えに来るのが、学校に行く合図だから怖かったけど、
今は私から蛍くんを家に入れるって…
…なんか変な感じ
でもすごく…楽しい
「蛍くん、上がってください!」
私は蛍くんを家に入れると、リビングへと急ぐ。
「…お前にだけ…なんだけどな…」
蛍くんがそう呟いた声も、聞かないまま。



