…?


涼太くんが私達の間に入ってきて、大きな声でそう言った。



私と蛍くんはというと、ポカンとした顔で涼太くんを見つめている。



「俺わかった!」


「なにが」



「ららちゃんが言ってたこと」


「前に言ってたんだよ、けーちゃんがドSだって」



涼太くんなにを言うんですかぁ~っ



私はそっと蛍くんの方へ視線を向ける。


すると蛍くんは、表情の読めない顔で私をじっと見つめていた。


…み、見つめられている…



「…無意識だわ」


蛍くんは、私を見つめてそう言うと、私からスッと離れた。


気のせいか、蛍くんの頬が少し赤い気がする。


「蛍くん、朝ごはん食べた?」


お母さんがリビングから、エプロンをしたままひょいっと顔を出して言った。



その様子からして、お母さんは朝ごはんを作っていたらしい。


「…あら…新しいお友達?」



すぐに蛍くんの隣にいる涼太くんに気づいたお母さんは、とても嬉しそうに私にそう言った。



そういえばお母さんは、涼太くんと会うのは初めてだよね。


私は力強く頷くと、笑って見せた。



「初めまして!岸 涼太ですっ」



涼太くんは無邪気な笑顔で自己紹介をした。



…涼太くんは、人見知りとかしないんだろうなぁ



私は涼太くんのハキハキと話す様子を見て、そんなことを考えていた。



「涼太くんね!いらっしゃい~」


「二人とも、たまごやき食べる?」



お母さんは、なんだかとても嬉しそう。


「やったーっ」



涼太くんも、とっても嬉しそうな声でそう返事をすると、「おじゃまします!」と言って、家に入っていった。



いつもは蛍くんだけだった迎えも、涼太くんがいるだけで、とても賑やかになる。



いつの間にか二人っきりになっていた私と蛍くんは、なぜかぎこちない雰囲気が流れていた。