私はたくさんの不安と、少しのワクワクを感じながら服を選んだ。
「…これでいいかな」
ズボンに、上は白いパーカーを着て、鏡の前でくるりとまわってみる。
…蛍くんと涼太くんの私服は、きっとすごくおしゃれなんだろうな~
わ~っ
なんだかほっぺが熱い…
夢みたいなことが、これから始まろうとしている。
私がまだ、きっと知らない世界。
_ピンポーン
わっ
蛍くん達、もう来たのかな?!
いつもはお母さんが蛍くん達を出迎えてくれるけど、今日は私がやらなきゃ。
まだ髪も結んでいない私は、胸辺りまである髪を揺らしながら、階段を降りた。
するとその時、ちょうどお母さんとバッタリ会ってしまった。
目が合うと、お母さんは少し驚いた顔をしていた。
「お友達?」
今日は土曜日。
友達と、土曜日にお出かけするなんてしたことなんてない私だから、きっとお母さんはびっくりしてるんだと思う。
「うんっ」
私は自然と微笑んで、そう返事をしていた。
「嬉しそうね、お母さんも嬉しい」
「あ、早く家に入れてあげないと」
私に嬉しいことがあると、いつもお母さんも一緒の気持ちになってくれる。
私が嬉しいと、お母さんも嬉しいんだ…
そんなことを考えながら、私は初めて自分から、蛍くん達を迎え入れた。