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その次の日、俺はららに会うことはなかった。



いつものように迎えに行くと、ららのお母さんから、ららが体調不良で学校を休むことを知らされた。



胸がざわっとして、心臓がドクドクと速くなる。


俺はその時、眠ちゃんの言葉が頭に浮かんでいた。


『…桜田に、そろそろ俺は厳しい言葉を言うから、』



_『桜田が永瀬に何か話したがってたら、聞いてやってほしい』



「…ららの負担にならないなら、少しだけ話をしてもいいですか?」


そう言うと、ららのお母さんは心配そうに眉を下げた。


「…ありがとう、でも…いくら呼んでも、あの子…部屋から出てこないのよ…だから…」


そう言うお母さんの肩は、少し震えていた。



…先生、俺…


「会えなくていいです、ただ伝えたいことがあって…」


「少しだけ、お邪魔してもいいですか?」


…俺、嫌われる覚悟とかそういうんじゃなくて、


俺にはもっと、他にできることがあるって気づいた。



「……ありがとう」


お母さんの瞳が揺らいだ後、ふっと目を細めて笑ってくれた。


「どうぞ」


「…ありがとうございます」


…ちゃんと気持ち、伝えるってこと



階段を上って、ららの部屋のドアの前に立つと、俺はためらいもなくららに話しかけた。



「らら、」


ららはずっと、俺に伝えてくれてたよな。



_『…生きてて良かったって…そう思えるようになったんですっ…』


…俺もさ、


「…俺もららが生きててくれてよかった」



「…生きててくれて、ありがとう」



「……」


俺がそう言っても、ららからの返事はなかった。


それでも俺は言葉を続けた。



_『…私に居場所をくれてありがとうございます!』


…ららの居場所なんてもっとこれから増えてくよ…



…それから…



「あと…居場所…もらってたのは、俺も同じだから…」


「俺も、ららの隣が落ち着く大切な居場所だ」


_『っ…学校に行ってっ…』


_『…皆と…笑いたいですっ……』



…できるよ、大丈夫



「…笑って学校に行きたいって言ってたの、」


「俺も見たいな、それ」



「…隣で、見たい」



俺はその姿を想像して、ふっとはにかんだ。


「あ、忘れんなよ、明日は涼太と俺とららの3人で遊ぶ日だから」


「明日も迎えに行くな」



「…じゃぁ、いってきます」