__☆..★
_.*
その次の日、俺はららに会うことはなかった。
いつものように迎えに行くと、ららのお母さんから、ららが体調不良で学校を休むことを知らされた。
胸がざわっとして、心臓がドクドクと速くなる。
俺はその時、眠ちゃんの言葉が頭に浮かんでいた。
『…桜田に、そろそろ俺は厳しい言葉を言うから、』
_『桜田が永瀬に何か話したがってたら、聞いてやってほしい』
「…ららの負担にならないなら、少しだけ話をしてもいいですか?」
そう言うと、ららのお母さんは心配そうに眉を下げた。
「…ありがとう、でも…いくら呼んでも、あの子…部屋から出てこないのよ…だから…」
そう言うお母さんの肩は、少し震えていた。
…先生、俺…
「会えなくていいです、ただ伝えたいことがあって…」
「少しだけ、お邪魔してもいいですか?」
…俺、嫌われる覚悟とかそういうんじゃなくて、
俺にはもっと、他にできることがあるって気づいた。
「……ありがとう」
お母さんの瞳が揺らいだ後、ふっと目を細めて笑ってくれた。
「どうぞ」
「…ありがとうございます」
…ちゃんと気持ち、伝えるってこと
階段を上って、ららの部屋のドアの前に立つと、俺はためらいもなくららに話しかけた。
「らら、」
ららはずっと、俺に伝えてくれてたよな。
_『…生きてて良かったって…そう思えるようになったんですっ…』
…俺もさ、
「…俺もららが生きててくれてよかった」
「…生きててくれて、ありがとう」
「……」
俺がそう言っても、ららからの返事はなかった。
それでも俺は言葉を続けた。
_『…私に居場所をくれてありがとうございます!』
…ららの居場所なんてもっとこれから増えてくよ…
…それから…
「あと…居場所…もらってたのは、俺も同じだから…」
「俺も、ららの隣が落ち着く大切な居場所だ」
_『っ…学校に行ってっ…』
_『…皆と…笑いたいですっ……』
…できるよ、大丈夫
「…笑って学校に行きたいって言ってたの、」
「俺も見たいな、それ」
「…隣で、見たい」
俺はその姿を想像して、ふっとはにかんだ。
「あ、忘れんなよ、明日は涼太と俺とららの3人で遊ぶ日だから」
「明日も迎えに行くな」
「…じゃぁ、いってきます」