眠ちゃんは優しい表情でふっと笑った後、なにやらプリントを俺の前にひらりと見せた。



俺は眠ちゃんの方に近づいて、プリントをじっと見つめた。



「……2点…」



…あ~、思い出した


その日すげー眠たくて、一問だけ解いて寝たやつ。



「あした放課後、再テストな」


眠ちゃんはニッと笑ってそう言うと、俺にプリントを渡した。



「…再テストあんの知らなかったんですけど」


…知ってたら本気でやったのに


「どんまいだなぁ、ちなみに涼太も再テスト」


先生はそう言うと、岸 涼太と名前が書かれたプリントを見せた。


「うしっ…」


_べしっ


「何がうしっ、だバカやろー」


「…帰る」


…?


突然そんな声が後ろから聞こえて振り返ると、涼太がムスッとした顔でそこに立っていた。


「…お~、やっと起きた、そんですげぇ不機嫌だな」


…不機嫌…っていうか…


疲れてるっていうか…



…泣いた後…みたいな…?


涼太はずびっと鼻をすすると、ニッと笑った。



「…再テストやだね」


「…?うん」


いつもと様子が違ったように見えたのは気のせいのように、涼太は笑った。


寝起きだからかな?


「コーヒーうま」


「アメもうま」


そう言いながら幸せそうにしている眠ちゃんを見ると、自然と頬が緩む。



「ちなみに再テストお前らだけだぞ~」



「「…まじ」」