多分、涼太はまだ家へ帰りたくないんだと思う。
ひとりぼっちの自分の家に。
眠ちゃんは涼太のそんな顔を見て、眉を下げて優しく笑った。
「…俺やっぱコーヒー飲みながら教室で丸つけしよっかなー」
そう言いながら、眠ちゃんは教卓にプリントの束をドサッと置いた。
その様子を見ていた涼太は、目を丸くして、少し不安そうに言った。
「いいの?」
それはまるで小さい子供が、おもちゃを買ってもらう時のような表情で、俺は思わずグッと笑いを堪える。
「岸、永瀬に笑われてるぞ」
「…っ…言うなよっ…面白いから黙ってたのに」
俺は笑いを堪えながら、眠ちゃんにそう言った。



