俺は「ブラック」と書かれた方の、珈琲を手に取った。
そして、涼太の揺らいだ瞳を見つめながら言った。
「毎日迎えに行って、絶対見離してなんかやらない」
「…離さない」
俺がそう言うと、涼太は少し驚いたような表情をした後、ニッと眉を下げて笑った。
「けーちゃん」
「…ぬいぐるみ卒業だね」
……は?
…ぬいぐるみ卒業?
「あんなに可愛かったのにな~」
…また可愛いって言うし…
涼太は俺に近づくと、わしゃっと頭を撫でた。
…そんでまた髪ぐしゃぐしゃにするし…
俺の目の前にいる涼太は、とても無邪気に笑っている。
「二人には、オカン涼太もいるからね!」
自慢気にそう言った涼太に、俺は吹き出すように笑った。
「……ははっ…」
…涼太がもう自分でオカンって言い始めた…
俺は手に持っていた珈琲を持ち上げて、涼太に言う。
「これでいいと思う?」
すると涼太は、いつものように無邪気にニッと笑って言った。
「それでいいと思う」



