そう言った後、なんだか突っ張っていた糸が緩むような気持ちになった。
「そう…なんだ…」
涼太の悲しそうな声を聞いて、俺は反射的に涼太の方へと視線を向けた。
涼太は眉を下げ、やっぱりとても悲しそうな表情をしていた。
……本当は分かってる…
「…ずっとこのままじゃいられないよな」
俺は気がつくと、こんな言葉を口にしていた。
…俺は痛いほど知ってる
大切な人に嘘をつく苦しみも、
悲しませることも。
嘘はいつか、
…自分に返ってくることも。
……痛いほど、知ってるんだ
俺も過去に、母さんに嘘をついたことがあるから。
それは俺が中学生の頃、まだ涼太と出会う前のこと。
俺が母さんについた嘘は、いじめられていることを隠すための嘘だった。
_知られたくなかった
_頼りたくなかった
_悲しませたくなかった
……でも結局、悲しませてしまった。
俺がいじめられているのを知った時の、母さんの表情を、今でも忘れられない。
…ららにはこんな思いしてほしくねぇ…
でも言えないららの気持ちも、痛いほど知ってる。
…ららがいつか、自分で母さんに話すって言った言葉を、俺は信じていたい
「…心が折れそうなときも」
「俺がずっとららのそばにいる」



