「…けーちゃん!」
…あ
涼太の大きな俺を呼ぶ声に、ふっと珈琲の悪夢から覚めたような気持ちになった。
涼太は心配そうに俺を見つめている。
「ずっと呼んでも返事しないから、具合悪いのかと思った」
眉を下げ、俺の瞳をじっと見つめながら涼太は言った。
……まじか…
「…ごめん俺…珈琲の悪夢見てた…」
俺がそう言うと、涼太は不思議そうに首を傾げた後、目を丸くして言った。
「…なにそれ…てゆうか、今寝ながら歩いてたの?!」
「…いや、寝てたっていうか…ほら、何て言うの?…思い出した…」
俺がそう言うと、
涼太は思い出したような表情をした後、ニッと楽しそうに笑いながら言った。
「俺が飲んでた珈琲、ひと口あげた時のこと?」
「…覚えてんだ」
…涼太ってバカっぽいしすぐ忘れそうだけど…
…そういう思い出は覚えてんだよな…
俺が涼太に感心していると、涼太のぶっという吹き出した音が聞こえてきた。
「…だってっ…あの時のけーちゃんの顔っ…おもしろすぎてっ…」
……こいつ…
_べしっ
「あははっ…」
_べしっ
「…ごめんごめんっ…」
_べしっべしっべ_
「いやっ、…あの…痛いよ?!」



