……いや…



「可愛すぎんだろっ」


「……あの顔であかりって……」


俺は、眠ちゃんを頭に浮かべる。



茶色の髪で、目にかかるほど長い前髪、いつも眠そうで、スラッとした体に、長い足。



そう、眠ちゃんはイケメンなのだ。


なのに、女子にモテモテかと思いきや変人の眠ちゃん。



でも面白いから、結構男女関係なく、生徒に人気なんだよなぁ…



「…イケメンなのに、名前可愛いっていう…」


涼太は腕を組んで、頷きながらそう言った。



そして涼太は俺の目を見つめてから、綺麗な瞳を丸くして言った。



「一部の人しか、名前知らないらしいよ」



……そういえば…


…俺らの担任になった時の自己紹介で、名前教えてくれなかったよな……



…その時は、ただのめんどくさがり屋だと思ってたけど…



「……何でお前は知ってんの?」


涼太はその一部に入ってるってことか…



「……俺は…」


俺はじっと涼太の言葉を待つ。



すると、涼太は何かを考えるような仕草をした後、すぐにこう言った。



「……仲良いから!」



「なんだよ今の間」


俺がそう言っても、涼太はただニッとした笑顔でいつものように笑うだけだった。



…俺だって…結構仲良いつもりだったのに



そんなことを考えながら歩いていると、ふと疑問が浮かんでくる。



「…てか今…どこ向かってんの?」