俺は大きく息を吸う。



「…寂しかった……」



そう言った後、何かの糸が切れたように、不思議と体の力が抜けた。



「……うん…」


少しの沈黙の後、けーちゃんの低くて落ち着いた声が、電話越しに聞こえてくる。



…けーちゃんめっちゃ遅刻してくるし…



「……嘘つかれてたって知ってから………ちょっと苛々してた……」


…また、このまま不登校になるんじゃないかな…とか…


…心配…してたんだよ…



「…普通に寂しかった…」


……多分けーちゃんも、何か言えない理由があったんだろうけど…


…分かってるけど…




「………ごめん…」


そう言ったけーちゃんの声は、申し訳なさそうで、優しい。




…わがままだけど…


……俺には全部…話してほしかった…



「……俺も…ごめん」



こんな小さなことで苛々して、言えないまま、いろんなことが積み重なって、




_すれ違ってた



「…けーちゃんがまた不登校になっちゃうんじゃないかって…」


「……心配したんだよ…」


言いたいことを全部言っていいわけじゃない。


でも、



たまには想いを伝えるのも


きっと大切なんだね。



「……ジュース…」


…え?