「二人って土日も一緒にいたりするの?」
……へ…
…土日も一緒に…
「いたことないですっ」
思ったよりも声が大きかったのか、二人はポカンとした顔で私を見つめた。
でもすぐに、いつものようにニッと笑って涼太くんは言った。
「暇だったら、3人で遊ぼうよ」
…あ、遊ぶ……
わ、わぁぁぁ~~
「いいでしょ、けーちゃん」
涼太くんはそう言いながら、どこか困った笑顔で蛍くんの顔を覗いた。
まるで、子供をあやすお母さんのような涼太くんの表情に、私は思わず微笑んでしまう。
涼太くんってお兄ちゃんって感じです…
…ん?
…やっぱりお母さんって感じが…
うーん…
…やっぱりお兄ちゃん……?
「…いいよ」
蛍くんは、涼太くんの瞳をじっと見つめてから、そう返事をした。
…3人で学校…
…3人で遊ぶ…
なんと言えばいいか分かりませんが…
…なんだかすごいです…
…すごいです
「よし、じゃぁ決まりっ」
蛍くんの返事を聞いた涼太くんは、明るい声でそう言いながら、スッと立ち上がった。
「次、体育だから学校行こうかなぁ」
立ち上がると、涼太くんは時計を見ながらそう呟いた。
「…本当にすみませんでした……」
…迷惑ばかり…
私が謝ると、涼太くんはこちらを振り向いてから、ニッと笑って言った。
「遊びまくって、いっぱい思い出作ろうねっ」
__思い出……
そのいつもの無邪気な笑顔に、ホッと落ち着くような、暖かい気持ちになる。
私は謝ってばかりで、許してもらうことに必死で…
…でもきっと、そうじゃなくて、
そうじゃなくて、
…本当にたくさんの…
「ありがとう」
たくさんのありがとう
…もっと伝えたいな
もらってばかりじゃなくて、
何もできないと決めつけるんじゃなくて、
私は二人の顔を交互に見つめる。
私がしなくちゃいけないことは、無理なことをして、一人で落ち込むんじゃなくて、
一緒に過ごして
大切な人を…
…たくさん大切にすること
…大好きな人達と笑ったり喧嘩したりする時間や日々を…
…蛍くんと手を繋いで、学校まで走った毎日を…
…当たり前だと思うような毎日を…
…たくさん…たくさん…
…大切にすること_。