「なんか二人いい感じにイチャイチャしてるけど、俺のこと忘れてなーい?」



涼太くんのそんな大きな声に、ドキッと心臓が大きく跳ねた。


「い、い、いちゃっ…?!」


イチャイチャ?!


私は咄嗟に、蛍くんから勢いよく離れる。


すると、蛍くんはムッとした顔をした後、眉間にシワを寄せて言った。


「イチャイチャってなんだよ」


「別に普通だろ」


…やっぱりそうですよね?!


蛍くんはこれが普通なんですっ


分かってますっ



_あれだって…



『好きだよ…』


あれだって…意味なんて特に無かったんですよね…


キスだとか…


…お仕置きだとか…


…襲う…?は、よく分からなかったですけど…


…そういう言葉よりも…ずっと…


…ずっと…



好きだよって言葉が、どうしてか分からないですけど…



…すごく特別なんです…



って…


私なに考えてるんでしょう?!



「ららちゃん、けーちゃんうざいからもう帰ろっか」



私がぐるぐる頭の中で考えていると、涼太くんが、眉を下げて呆れたようにそう言った。


へっ…


う、うざ…?


「おい、うざいってなんだよ」


蛍くんがムッとした顔で、涼太くんの言葉にすぐ、そう返事をする。


け…喧嘩ですか…?!


気のせいか、いつもの言い合いとは何か雰囲気が違う。



蛍くんは普段と同じ…かもしれないけれど…なんだか涼太くんは…



…怒ってる……?



少しの沈黙が流れた後、どこかピリッとしたような空気を変えたのは、涼太くんだった。