「涼太、そっちに、ららいる?」
説明不足の俺の言葉に、涼太は動揺することなく、ハキハキと返事をした。
「迎えに行ったんじゃなかったの?」
「ららちゃんに何かあった?」
涼太の少し心配そうな声が電話越しに聞こえる。
…今まで門を通れたことがないから…
いるとすれば…
「わるい涼太、学校の周辺っ…ららがいるか見てほしいっ」
もし、いるとすれば…学校の外…
「何があったか分かんないけど…了解」
落ち着いた声が聞こえた後、すぐに涼太の足音が聞こえてきた。
涼太の足音を聞いてから、俺は電話を繋いだまま走り出した。
どこを探せばいいかも分からずに、ただ夢中になって走った。
「はぁっ…はぁっ……」
…なんでいないんだよ…
…やっぱり、ららのお母さんに言った方が…
「…けーちゃんっ…」
俺が走りながら必死に考えていると、涼太の大きな声が電話越しに聞こえてきた。
涼太は息を整えた後、大きく息を吸った。
「……ららちゃん見つかったっ…」
………よかった…
「………~~っよかった………」
俺はふぅっと息を、深く吐くと同時に、静かな公園で一人しゃがみこんだ。



