「……今、家に誰もいねぇから大丈夫」
蛍くんはそう言って、私をおぶったまま家の鍵を開け、中へと入って行く。
…ちょ…
ちょ、ちょっと待ってください…
まだ息が苦しくて、私は何も言い返せない。
…男の子と二人っきり…
し、しかも蛍くん…
…私ナニサレルンデショウ?
…神様…
思わず心の声さえも、カタコトになってしまった私は、しばらく固まっていた。
「…ここ座ってろ」
蛍くんはそう言って、私を置いてキッチンの方へと歩いて行ってしまった。
「……すぅ……はぁぁ…」
…落ち着いてきた…
まだ少し酸欠でフラフラするけど…
…蛍くんに、また迷惑をかけてしまいました
いい加減…私に呆れて…
…って、
……もうすでに呆れてますよね
呆れてるはずなのに、
どうして蛍くんは、こんなにも私を学校に連れて行こうとするのでしょうか…?
私は部屋の壁にもたれかかり、自分の情けなさにため息をついた。
…蛍くんに怒られるかな…
ふと蛍くんの、ニコニコスマイルのドSの顔が浮かぶ。
「…恐ろしい」
私はニコニコスマイルを頭から追い出すように、ふるふると首を横に振った。
…蛍くんは多分…本当は優しい人なんです…
…でも私にとっては少し怖い
無理矢理に学校へ連れて行かれるし…
何より、学校へ行かなかった時のおしおきのハグやキスは…
うーん…ちょっとよく分かりませんけど…



