すっかり辺りが静かになり、文化祭が終わったのだと今更ながら気付いた。

「ねぇ、呼び方なんだけど、やっぱり下の名前は無理なの?」

突然、話題を変えた永田くん。

「俺、苗字に君付けって、壁があるように感じてあまり好きじゃないんだよね。」

やっぱり笑って誤魔化してたけど、ホストなんだ、永田くんは。こうやって女の人と距離を詰めて落としていくんだ。

「やっぱり、アルバイトってホストじゃん!生活スタイル戻して、早く大学に来てよ?…つばさくんっ」

わたしは言葉を言いながら、研究室を後にした。

研究室で、永田くんが1人うずくまって喜んでいたことを、もちろんわたしは知らない。