柚希が何を思って杏梨ちゃんを看るのを許してくれたのかは分からない。
ただ、同情の類でないことを願う。
それから、6年。
柚希の生い立ちも知った。
「父親も母親も叔父さんも、泣き叫んだって手を伸ばしたってこちらを見ようとしなかったのに、叔母さんだけは私を見てくれた。血の繋がりなんて全く無いのにね。」
両親が病死した遥と違って、育児放棄されていたのを紫さんが気付いて救いだしてくれたらしい。
ただ、稔さんは失業中で紫さんもパートの身、児童養護施設に預けるしかなかった。
「だから、今度は私が叔母さんの力になりたい。」
合間を見付けては病院へ連絡をくれて、
その度に話す内容は杏梨ちゃんのことだけじゃなくなって。
俺は杏梨ちゃんを看れて、
柚希と家族の真似事をしている内に自分のことを棚に上げて、
欲が出てしまった。
稔さんに来て欲しいと、杏梨ちゃんに一目でいいから会って欲しいと。
娘なんだからと。
けど、それはいまだに実現していない。
しかも、任期満了した柚希が1年前に転任してきてからも俺は杏梨ちゃんを看続けている。
柚希はなにも言わなかったし、俺も切り出せなかった。
良いか悪いか分からない。
けど。
「君が意識を取り戻した時、俺がいなきゃ気持ちの行き場ないもんな。」
ただ、同情の類でないことを願う。
それから、6年。
柚希の生い立ちも知った。
「父親も母親も叔父さんも、泣き叫んだって手を伸ばしたってこちらを見ようとしなかったのに、叔母さんだけは私を見てくれた。血の繋がりなんて全く無いのにね。」
両親が病死した遥と違って、育児放棄されていたのを紫さんが気付いて救いだしてくれたらしい。
ただ、稔さんは失業中で紫さんもパートの身、児童養護施設に預けるしかなかった。
「だから、今度は私が叔母さんの力になりたい。」
合間を見付けては病院へ連絡をくれて、
その度に話す内容は杏梨ちゃんのことだけじゃなくなって。
俺は杏梨ちゃんを看れて、
柚希と家族の真似事をしている内に自分のことを棚に上げて、
欲が出てしまった。
稔さんに来て欲しいと、杏梨ちゃんに一目でいいから会って欲しいと。
娘なんだからと。
けど、それはいまだに実現していない。
しかも、任期満了した柚希が1年前に転任してきてからも俺は杏梨ちゃんを看続けている。
柚希はなにも言わなかったし、俺も切り出せなかった。
良いか悪いか分からない。
けど。
「君が意識を取り戻した時、俺がいなきゃ気持ちの行き場ないもんな。」



