【医、命、遺、維、居】場所

「久しぶりね、巧。」




「姪って、柚希、だったのか・・?」




「うん、母親の弟。叔父さんから病院の名前聞いた時は驚いた。叔母さんからは聞いてなかったし。しかも、空港で遥に電話したら、主治医は巧だっていうし。驚きの連続だったわ。」






驚いたというわりに柚希は軽い口調で、事の重大さが嘘なんじゃないかと思えてくる。







「柚希・・・・っ、あの子のことなんだけど・・・・」




「分かってる。叔父さんにはお兄ちゃんのことを優先してもらってる。叔父さん自身もショックが強いみたいだし。だから、私が、ね・・・。ただ、私まだ任期途中で、数年抜けられないの。お金の問題は無いんだけど」



「俺が看る。」



「え?いや、でも、巧にだって仕事あるし。それに、一人の患者に入れ込むのは・・・」



「俺が看たいんだ。看させて欲しい。頼む・・・!!」






頭を下げた。


柚希の顔を見れなかったのもある。


医者としての対応じゃないのも分かってる。





だけど、俺は、


稔さんが受け入れられないなら、

柚希がいられない期間だけでも、



せめて、許されるのなら。






「分かった。ただし、言っておくことがある。」



「なに?なんでも言って。」





「杏梨。杏に梨って書いてあんり。叔母さんが付けた名前なんだから、ちゃんと呼んであげてよ。」