【医、命、遺、維、居】場所

「6年か・・・。今度小学生になるんだから当たり前だよな。」





遡って、杏梨ちゃんがまだお腹にいた頃。



杏梨ちゃんの母親である縹紫(ハナダ ユカリ)さんは、ヘビースモーカーだった。







何度注意しても止めなくて、


朝一でも吸うなんて、寝ている間に脳内のニコチンが低下している証拠でニコチン依存症の典型なのに、



『第一子である長男の時も吸ってたけどなんの問題もないし、ストレス発散になるんだからこれくらい見逃してよ。』と言われて。





ストレスが溜まるくらいなら、と俺は・・・。








だけど、



予定日より早くて、




出血が止まらなくて、



母子ともに危険で、





それでも、



紫さんが最期に望んだ杏梨ちゃんの命だけは、





遥と一緒に繋ぐことは出来た。




動悸が治まらないまま、紫さんの夫である縹稔(ハナダ ミノリ)さんを呼んで、紫さんの死亡原因と杏梨ちゃんの容体を説明した。



罵倒や殴られることさえ覚悟したがそんなものは一切なく、『後は姪に任せます。』と紫さんだけ連れて帰っていった。



姪御さんは仕事で海外の僻地にいるらしく、一週間後にようやく連絡が取れて来てもらったのだが。




「柚希・・・・・!」





この時ほど、運命を呪ったことはない。