【医、命、遺、維、居】場所

「遥に言われたの。杏梨のこと、ちゃんと巧と話せって。私、もういいからって思ってて。杏梨のことは悲しいけど、私なんかの為に、みんなに負担をかけたくないって思ってた。話したところで過ぎたことは変わらないし、杏梨の思い出に浸ってばかりもいられない。だから思ったの。目の前にあること、一生懸命頑張ろうって。」







叔母さんのことと杏梨との6年という歳月。


巧を変えてしまうほどの重みがあった。



だけど、相変わらずのことだってある。


一番変わって欲しくない、巧の優しさはまだちゃんとここにある。



聞いて欲しいと、そして聞いてくれると思ったからこそ、私は話そうという気になった。








「でも、それじゃダメなんだよね。思っているだけじゃ伝わらない。」







散々自分の中で理屈を並べ立てても、相手にとって実感は得られるはずもない。





心配なんかしなくていいなんて突き放すような言葉だけれど、両親から心配されたことがなかったからどうしていいかいまだに分からない。







でも、勇ママは『心配するとかされるとかは、悪いことではなく相手を大切に思っているからなんだよ。だからそういう時は、心配してくれてありがとうって言って伝えればいいんだよ。』って言っていた。