2日後、巧は出勤していた。


遥がいいのか?と聞いたら、単なる疲れからだからと追い返されたそうで。






「あの頑固は生まれ変わっても変わらない。って怒ってた。」







巧からのお土産を片手に、遥が報告しに来てくれた。







「そっか。巧の頑固さは父親譲りだったんだね。」



「みたいだね。・・・・ねぇ、柚希。」



「うん?」





「巧と話、しないの?」





なんの、とか野暮な主語はない。



直球で聞く辺りも遥らしい。






「巧を焚き付けたの、やっぱり遥だったんだ。」




「焚き付けたんじゃないよ、フォローしろとは言ったけど。」







遥はそもそも面倒見がいいんだけど、私に対しては、特に兄貴気質を発揮する。


施設で出会った時も、巧を紹介された時も、生羯メディカルセンターで働きたいと相談した時も。


今も。





前に聞いたら、友達の妹がとても可愛く自分にも欲しかったから凄く嬉しいんだ、だって。


私が来るまでは遥が施設の最年少兼新入りだったから私が来て兄貴欲求が爆発したらしく、私の世話をやいては構いすぎだと施設の人に怒られてたっけ。







「フォローって・・・」







多分、いや間違いなく杏梨のことだよね。







「フォローになってないの分かってたけどね。」






私の語尾のニュアンスで分かった遥は、そう言って苦笑する。