【医、命、遺、維、居】場所

「傅雖先生の気持ちを考えてください!」



「麦傍先生、落ち着いて・・・!」








午後の小児科の診療も一段落し、産婦人科に顔をだそうと赴いてみると、何やら騒がしい。



産婦人科内で声を荒らげるなんて、緊急時以外言語道断。







「麦傍先生、どうかしました?私の名前が出てたようですけど。」







ピリピリムードが漂っていたから、努めてにこやかに、かつ冷静に話し掛けた。




見たところ、巧も遥もいない。





それと。






「傅雖先生・・・・!!それが・・・」






「私に用事のようですね。」







麦傍先生と駒枝さんの奥には稔さんがいた。







「稔さん、どうかしました?書類に不備でもありましたか?それともご質問かなにかですか?ここではなんですから、応接室へどうぞ。」





「いや、ここで。君にあの子を引き取って欲しくてね。用事で近くまで来たから、今日はその手続きの方法を聞きに。」







なるほど。






「・・分かりました。私が引き取ります。手続きや必要書類などは事務に確認してからご連絡いたします。」






一瞬間が開いたのは躊躇った訳ではなく、麦傍先生と駒枝さんに見つめられていたのが分かっていたからにすぎない。




私の言葉に驚いていたのも分かった。









「そうですか。お願いします。」








『厄介払い出来た』と言いたそうなホッとした顔でも、それが稔さんの本懐なら。