【医、命、遺、維、居】場所

稔さんの再婚した奥さんの出産の手伝いを出来なかったのはとっても残念だったけど、


巧の願いも叶えられることは無いけれど、




私は、叔父さんが杏梨の父親で良かったと思っている。






叔母さんが命懸けで産んだ杏梨に会いに来なかったから、



完全放置だったから、




そのお陰で、私は杏梨の傍にいられた、



巧と水入らずでいられた、


最期まで一緒にいられた。











親子の絆なんて脆いもんなんだよね。




両親みたいにすぐ壊してしまうか、叔母さんとみたいに強く紡いでいくかなんて、ほんとそれぞれなんだから。






だから、だからね、巧。


私は叔父さんを許すことにしたんだよ。








って、そんなことを考えながら準備していたから無意識に微笑んでいたみたいで、オペ看に不思議がられてしまった。





それが感謝だったのか、それとも軽蔑だったのか、私にだって意味は分からなかったけど。





でも、巧は納得は出来ないよね。





許す許さないじゃないし、そんな議論を望んでもいないだろうし。







というか、会わせてやりたいなんて、私は思わなかったんだよね。




杏梨は意識が戻らなかったから本当の気持ちなんて誰にも分からなくなってしまったけど、



私は私の両親と会いたいなんて思わないから。


・・・・身も蓋もないけど。









巧はやっぱり優しい・・・・優しすぎるんだよ。









だから、全てを見届けるだけで、鉢合わせしないように戻るね。









巧と遥の親友独特の間に、無理矢理入る気はないから。





巧の隣には、遥がいればいいよね。