「おはよ～、純恋！」

家を出ると幼なじみのアキちゃんがいつも通り私が出てくるのを待ってた。

「おはよ、アキちゃん」

私は挨拶を返すと、そのまま学校へと向かった。






私は、笠原 純恋。陽高原高校の普通科1年です。

家族は、父、母と弟の春樹の四人家族。

春樹は中学3年生。昔はよく話してたんだけど
思春期で最近は全然話してくれない。

私は、特に何の取り柄もなくて静かに教室の隅で読書してるような普通より少し大人しめのの女子高生だ。




「おはようございます～」

校門では、生徒会の先輩が朝の挨拶活動をしている。

朝から元気で真面目だなんてすごいなあ。

そんなことを思ってると、突然キャーという黄色い声が聞こえたもんだから驚いた。

「…純恋！見てよあそこ！昨日まで来てなかった、私たちと同級生の朝倉 慶だよ！めっちゃイケメンー♡」


朝倉…慶…？

よくわかんないけど隣でアキちゃんは騒いでる。

「ねね、アキちゃん、そんなに有名な人なの？」

私は小声でアキちゃんに聞く。

すると、驚いたようにアキちゃんは私の目を見て、

「え、純恋知らないの？！あの有名な朝倉財閥の社長の息子だよー？！容姿端麗、スポーツ万能、成績優秀の三拍子の、あの朝倉くんだよ？！」

「へ、へぇー…そうなんだ…」

私ってやっぱ噂とかに疎いのかな…って落ち込みながらも、朝倉って人を見てみる。

たしかに、イケメンだなー。
きっと私とは住む世界が全く違う人だ。

ぼーっとその人を眺めていた。
ただそれだけだった。

「ねえ、純恋？朝倉くんが近づいて来るんだけど、やばいーー！！」

「よかったね、アキちゃん」

そんなことを言って微笑んでいたら…

「おい、お前＿＿！」

は、はい？朝倉って人は、アキちゃんの前を素通りして私の前で止まった。

なんかいきなりお前とかなんか、ちょー怖い。てか関わりたくないよ……てかなんなの…？！

「あ、は、はい…」

私は震えながらに声を出した。

すると、朝倉は

「お前、俺の女な。」

それだけ言って去っていった。

それだけ………ん？

って、ええええええええ？！

な、何言ってんの？

私の頭は急な出来事についていけなくて

やっとついていけた頃には、彼はもう見えなくなっていた。

周りでは、派手な女の子達が悲鳴をあげていた。

隣でアキちゃんもびっくりしたような顔を浮かべて

「純恋、どういうこと？」

って聞いてきたけど、そんなこと私の方が理解できないし……。





「アキちゃん。私も、よくわかんないよ。」