あの子とは、大島蘭くん病院では蘭くんと呼ばれていた。
蘭くんの家は、詳しくは知らないがものすごい大金持ちなんだそうだ。蘭くんは4歳になった頃、家で倒れ、病気が発覚し、この病院にやってきた。当時私は21歳で蘭くんの世話を頼まれたのだ。初めてあった時、一目見た瞬間鳥肌がたった。
とても小さな子どもがベッドに寝ていた。
小さな体から伸びる手足は折れそうなぐらい細くて、肌は白く、くりくりした大きな目の真っ黒な瞳が私を見つめていた。そして、今まで見たことのないような、悲しげな表情をしていた………