乾さんは相田刑事と私を交互に見ては、何も聞くことなく送り出してくれた。

「あとは私に任せて、ちょっと早めだけどお昼休憩に入ってらっしゃい」

1番ありがたいたい対応ではあったが、何か勘違いされているような。


私服姿の相田刑事は警察官には見えない。
そんな彼を引きつった顔で見つめていた私。


上手くいっていないカップルにでも写ったのだろうか。

乾さんのニヤニヤとした顔、ガンバレと動かした口元。


だが弁解する気も起きなかった。

警察相手にそんな想像されるのは吐き気がするほど嫌だけれど、この状況を1から説明することを考えれば弁解は不可能だと思った。



それを相田刑事も感じ取ったみたいで、

「私服できたばかり誤解を生んでしまったみたいですね。
でもさすがに制服では目立つので……」

少し気まずそうにしていた。

私はその言葉に、「はい」と短く答えるのが精一杯だった。

できたらあなたとは喋りたくない。
はっきり言って警察官のファッション事情なんて一切興味ない。

寧ろ、聞きたくない。



それから会話を交わすことなく、上のフロアの珈琲屋さんに入った。