あたりはまだ暗い。
私は、泣いていた。
またあの夢を見た。

最近は見ていなかったのに。
きっと、あの相田刑事のせいだ。


お父さんを逮捕したおじさんの、子供。

おじさんが逮捕したお父さんの、子供。


絶対に出会うべきではなかった。




相田刑事が謝ることなんて何も無いし。

ただ、警察はヒーローじゃないってことは知っているから、警察官を見る度に、パトカーを見る度に震えながら生きてきてきただけで。



あれから相田刑事は、ひたすら謝っていた。

結局、私が犯されかけた時の話ではなかったのだ。

私の名前を見でもした時に、思い出したのかな。

ずっと、負い目を感じていたのかな。



「本当に、申し訳ありませんでした」

なんで、彼がそんなに謝るのかって?

そりゃ、お父さんは“誤認逮捕”されてたわけだから。
それでそのまま、寒い牢獄の中で死んでいったんだから。

もう、再び寝付くことは難しいだろう。

私は長年の経験から、この夢の後に再び眠ることはできないと知っている。


身寄りのない私は、あれからヒマワリという施設に入った。

学校も転校し、私の生活の全てが変わった。


私の心も、変わるしか無かった。
必然のことだ。



昔のことを思い出し、呼吸が荒くなっている。

落ち着こう、落ち着こう。

やっぱり真冬の夜中は冷えて仕方がない。

ホットティーでも、入れようか。


むくむくとベッドから立ち上がると、キッチンにたった。