「…………………………………………あいつは……………………わたしの………………おと………………さん………………」
由実は、出しずらそうな声を必死に押し出した。
…………あいつって、殺人鬼のこと!?
お父さん!?
「………………どう……して………………」
「…………………………あたらしいおとうさん…………………………なの…………………………でもわたしが…………………………邪魔みたい…………………………」
「……そんな……だからって……………」
「………………………………ねぇ……………………………………なつき………………なつきは、一度あいつに殺されてるの…………………………しんじないかも…………しれないけど………………わたしをかばって……………………なつきが死んだ…………………………」
………………なんで、由実がそのことを覚えてるの………………?
過去に戻ってきたのは、私だけのはずじゃ………………
「なんで…………由実も………………?」
「……………………………え………………?」
由実は、驚いたような表情を一瞬見せた。
「由実だって、一度死んでるんだよ!
あの男に殺された…………私の目の前でっ…………!
それで、由実の死を目の前にして叫んだら、なぜかその日の放課後に時間が戻ってた……。
だから、由実にこれから起こることが私にはわかってた。
殺人鬼から由実を守らなきゃって思って、私が身代わりになったの…………。
なのに、目の前が真っ暗になったと思ったら、また同じ日の放課後に時間が戻ってた。
それが今なの。
よくわからないけど、また由実に危険が迫ってることだけは確かだった。
だから、絶対守らなきゃって…………そう、思ってたのに………………」
頬に涙が伝う。
涙で視界がぼやけて、よく見えない。
「……………………なに、それ……………………わたしと………………おんなじ………………
わたしも、なつきが目の前でころされて…………………………
こわくて、かなしくて、狂いそうなくらい…………さけんだの…………………………
そしたらじかんが…………………………もどってた…………………………
すぐにわかったよ、過去にもどったんだって………………
だから、なつきがわたしのところに…………来ないように………………しようと………………」
由実の声が、どんどん薄れていく。
私たちは、同じように過去に戻ったってこと…………?
もし叫んだことが過去へ戻ることに意味していたとしたなら、由実も私と同じように叫んだことがきっかけで、戻ってこれた………………?
それで、私がかばうことをわかっていた由実は、かばおうとした私をかばい返した…………。
でもそれじゃ………………そんなの………………
「………………………………なつ………………き……………………………………ありが……………………と……………………あのとき、わたしを…………………………まもってくれて………………………………でも、ね…………………………しぬ運命なのは…………わたし、なの…………………………あの人にころされなきゃいけないのは………………わたし……なんだよ………………だから、なつきは……………………ちゃんと……………………いきて…………………………」
由実の目から、涙がこぼれる。
「……………………いやっ………………だ…………」
「…………………………なつき、だいすき………………………………………………………………」
由実はそう言い残して
とうとう息を…………しなくなった。

