「わかった。 じゃあ、おまえがかけてくればいい」 「え…」 「待ってる」 「かけて、いいの…?」 「おう。 あと俺、今日一回誤魔化したわ」 腕を回し、長い髪を引き寄せる。 「水分補給、だからな」 他愛もないが、作り立ての思い出もある。 それを消すのは、今じゃないはずだ。 近すぎる場所で瞬きをした上目使いが、 微笑を浮かべてから閉じた。 名ばかりの短い口付け。 ちょうど、お誂え向きな逢魔が時だ。 だからあなたは信用出来ないと、 あの人なら笑うだろう。