「おまえ、カニさん取るなら他に行け」 「…。取らないから、 好きにしなよ…」 「やらねーからな」 「なに言ってるの!? いらないから!」 しかし、 網なし手掴みは思っていたより難しい。 10円玉ほどのカニはいるが、 すぐに隠れてしまう。 「下手過ぎー!」 ケラケラと馬鹿にしてくる紗良は、 足首までを海水に浸して涼んでいる。 「土産だ…」 「全部ヤドカリ? これなら紗良も、取れるけど」 「競争しようぜ!」 「やだ。 あっ、でも綺麗な貝発見!」