九月一日〜朝から晩まで~



「おまえ、カニさん取るなら他に行け」

「…。取らないから、
好きにしなよ…」

「やらねーからな」

「なに言ってるの!?
いらないから!」

しかし、
網なし手掴みは思っていたより難しい。

10円玉ほどのカニはいるが、
すぐに隠れてしまう。

「下手過ぎー!」

ケラケラと馬鹿にしてくる紗良は、
足首までを海水に浸して涼んでいる。

「土産だ…」

「全部ヤドカリ?
これなら紗良も、取れるけど」

「競争しようぜ!」

「やだ。
あっ、でも綺麗な貝発見!」