声をかけられた意味を悟り、 久しぶりに立ち上がった。 終着駅に、赤い電車は到着する。 最悪だ。 立ち入るどころか、 思い出したくもない場所ではないか。 「でも、なんて呼べば…?」 足早にホームに降りる後を、 紗良も追って来る。 「紗良のことは、紗良でいいよ。 先生はなんて呼ぶ?」 「うるせぇ…。 今考えてるとこだ」 これだけ学校に来ていないと、 担任の名前だって忘れるらしい。 見つけたコインロッカーに、 通勤鞄、暑苦しい上着とネクタイ、 そして携帯電話をぶち込んだ。