私はショックを受けました。

人をああだこうだ言っているのに、自分だって変わらないじゃないか。
人間って…
醜い。



いつか、あの方の本にも、人間の醜さが描かれていました。
きっとあの方も、人間の心の醜さを憎んでいらっしゃったのだと思います。


好きな人の影響は受けるものです。
たとえ悪いことだとしても、それをも受けてしまうのです。
でも私は、薬には絶対に手をつけません。

数いる小説家の中には、薬に手をつけて、どうにもならなくなってしまった方もいらっしゃいますが、私はどうも、薬だけは恐ろしくて手がつけれないのです。


自分一人の問題ではないのです。
もし、牢屋に入れられたり等したら、その後私の家族はどうなるんだろう、と考えると、とてもできないのです。




揺れる電車の中。
みんなが座っている中、ぽつんと一人立って窓の外の景色を見ていました。



あぁ、あの方のゆかりの地へ行きたい。



そんな思いばかりが胸にふつふつと湧き上がって止まりませんでした。