もし、その道に進んだのなら、卒業論文は間違いなく、あの方の作品について書いていたでしょう。
先程、地下鉄から地上の電車に乗り換える際、前を歩いていた人の腕が思い切り私の顔へ当たりました。
それなのにその人ったら、謝罪の一言もしないどころか、知らんぷりをしてノロノロと歩き出したのです。
あぁ、腹が立つことといったら。
中年のおじさんでした。
太っていて、手を大きくブンブンと振って。
このままでは、私だけではなくほかの犠牲者も出るのではないかしら、とも思うほど、危なっかしい、なんとも落ち着きのないダメな人でした。
私は生まれて初めて他人に顔を殴られました。(殴られた、と言っては語弊があるかもしれません。当たったのです。ただ、それだけでした。)
今日は、初めての事が多い一日の様です。
電車の中では、立っています。
先程、空席を見つけたのですが、移動するのも面倒で、どうせあと十分程度なんだから、いいだろう、という気持ちになるのです。

