キスの日のキセキ

どうしよう。どうしよう。

心臓はうるさいぐらいにドクドク言ってる。

「茂」

勇気を出して名前を呼ぶ。

「なに?」

「あ、あのね・・・あのね」

だめだ次の言葉が出てこない。

私のただならぬ緊張が茂に伝わったのか茂が体ごと私の方を向く。

「帰ってきてから千歳の様子がいつもと違うけど何か俺に言いたいことでもあるの?」

私は小刻みに首を縦に振る。

「それは…あまりいい話ではない?」

今度は首を左右にぶんぶん振る。

「じゃあ・・・なに?」

チラリと時計を見ると55分。


あと5分で終わっちゃう。