キスの日のキセキ

私と入れ替わるように茂がお風呂に入った。

私は寝室のベッドで茂が来るのをまった。

もう胸はドキドキで痛いくらいだ。

こんな気持ちになるのは何年前?

そうだ。茂と初めてキスした日だ。


あれは4年前、新入社員の私の教育係が茂だった。

元々イケメンで人気のある彼が教育係になり同期からかなりうらやましがられた。

だけど茂はイケメンの仮面をかぶった鬼だった。

とにかく厳しくて、毎日だめだしのオンパレード。夢と希望をもってこの会社に就職したけど

もうやめた方がいいと思ったほどだった。

でも徐々に仕事にも慣れ、任されることもおおくなった。そんな時

私は大きなミスをしてしまった。その時

「全責任は自分にあります」と私のミスをかばってくれたのだ。

あんなに厳しかったのに一番ダメージを受けている時、怒ってもいいのに

怒らず、できることをしろと励まし、大きな被害は免れた。

その時に

「俺は一生懸命にやっている奴に怒ったリはしない。何も考えずただ言われたことだけをやる。
自分の頭を使わない人に対しては厳しく接してる。今日の村岡のミスは決して許されるべきではないが努力している姿は見ていた。だから自分を責めるな。何かあった時の俺だろ?」

このことがきっかけで茂に対する印象ががらりと変わった。

そしていつの間にかそれは恋へと変わった。