35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~

温かい目で果菜を見ていると彼女がガバッと顔を上げた。

「そうだ!私、今日は自信をもって『LARGOのタカト』の隣に立っていようって決めたんでした!」
いきなり宣言するから笑ってしまった。
社長は肩を震わせて笑いをこらえている。

「そうか、すごい決意だな。頑張れよ。でも、果菜に自信があろうとなかろうと俺はお前のものだし、果菜も俺のものなんだけどな」
果菜の赤い頬に軽くキスするとさらに頬が赤くなり「もうっ」と軽く腕を叩かれた。

社長の冷たい視線は軽く無視する。


「進藤くん」

聞き覚えのある声に振り返ると、今日の主役、西隼人と秋野真紀がすぐ近くに来ていた。
タキシード姿の西隼人とフワッとしたヌードカラーの花柄ドレスの秋野真紀。
さすが日本を代表する俳優と女優。
まんまスクリーンから飛び出してきたようじゃないか。

「西さん、秋野さん。おめでとうございます」

「ありがとう。進藤君もお久しぶりね」

「来てくれてありがとう。LARGOは忙しいから来てもらえないかと思ったよ」

「まさか、西さんと秋野さんの大事な日に来ないはずないですよ」

笑顔であいさつを交わすと、二人の視線が俺の隣に移っていくのが分かった。

「俺の婚約者の果菜です」
彼女の腰を支えて紹介すると、「水沢果菜と申します。この度はご婚約おめでとうございます」と果菜はきれいに頭を下げた。
もともとそういう仕草をとてもきれいにこなす子だと思っていたけど、さらに洗練されたと思う。
俺には何も言わないが、社長のところで特訓したのかもしれない。